ブラック企業12の特徴、見抜くポイント、対処法、辞め方、退職代行の利用などを解説

ブラック企業
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・ブラック企業とは、労働者に対して過剰な長時間労働やノルマを課したり、賃金不払いやパワハラなどが横行する企業をいいます。従業員は、過酷な労働環境の下、心身ともに疲弊し健康を悪化させています。
・ブラック企業の問題は、メディアでもしばしば取り上げられ、社会的にも注目されています。  

・この記事では、ブラック企業の12の特徴と求職時にそれを見抜くポイント、ブラック企業で働く人が取るべき対処法などについて解説しています。

・さらに、ブラック企業を辞めたい時の対策、転職時にブラック企業で働いたことを活かす方法、退職代行の利用などについても説明しています。

・本記事は、司法書士として長年各種業界と関わり、社労士合格者の筆者が労働法や社会保険の知識を活かして執筆しています。

・この記事を通して少しでも多くの方がブラック企業の被害から救われ、より健全な労働環境へ移行されることを願っています。本記事からは、必ずブラック企業対策の有益なヒントが得られることと思います。

目次

1 ブラック企業とは

ブラック企業について、厚生労働省は、ホームページのQ&Aで次のような説明をしています。

「Q「ブラック企業」ってどんな会社なの?
 A 厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。

そのため、ブラック企業で働く人々は、非常に厳しい労働環境や長時間労働、過剰な業務量、低賃金、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、健康被害などの問題に直面しています。これらにより、身体的・精神的な健康に悪影響が出たり、プライベートな面でも不本意、不適切な状況におかれたりします。」

・なお、厚生労働省は、 労働基準関係法令違反に係る公表事案というものを発表しています。
そこには、労働基準関係法令違反の中小企業名等が列挙されています。
 
・また、ブラック企業大賞も話題になりますが、これはブラック企業をランキングづけしたもので、独自の民間委員会が判定したものです。

・近年は、大企業でもブラック化している会社が結構みられるとの指摘もあります。 

2 ブラック企業12の特徴とホワイト企業

1 過重、長時間労働

ブラック企業では、従業員に定時よりも相当遅くまで働かせたり、休憩時間を削ったり、週7日働かせたりするケースがみられます。また、労働時間の記録をつけず、残業代を支払わないこともあります。

・この結果、過労死等の問題も起こります。
「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする死亡やこれらの疾患のことを指します(厚労省HPより)。

・そこで問題にされる「過労死ライン」とは、
健康障害のリスクが高まるとされる時間外労働の「時間」をさす用語です。

過労死ラインは、労働災害認定において、労働者の健康障害発生と労働者との間の因果関係を判断するために設けられているものです。

過労死ラインは、労働行政では、80時間(月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・12時間労働)とされています。
➡健康障害の発症2~6ヶ月間平均80時間を超える時間外労働をしている場合、健康障害と長時間労働との因果関係を認めやすいという目安。

また、発症1ヶ月前は、100時間(月に20日出勤とすると、1日5時間以上の残業・13時間労働)を超える時間外労働をしている場合も、同様に健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいとされています。

・なお、過労死ラインを超えると起こりやすい病状としては、心筋梗塞、うつ病などによる過労自殺睡眠不足・過労による事故などがあげられています。

・ただしこれは、あくまで目安であって絶対的なものではありません。つまり、過労死ラインを超えないと、その健康障害が労働災害と認められないというわけではなく、労働時間以外でも、労働環境の劣悪さや仕事量の多さなども労災認定の要素になるのです。

・このような企業に勤める場合、労働者自身としても健康障害をさけるために、自分自身の健康管理やストレス解消の工夫や努力がとくに必要になります。
また、その企業自身にとっても、こういう状態を放置すれば、生産性の低下や企業の評判にも悪影響を与えることになります。

2 休日が少なく有給が取れない

ブラック企業では、従業員の休日が少ない場合が多くみられます。たとえば、週に1日しか休みがない、または週休2日制度があっても、従業員に強制的に出勤を命じ、休日を取ることができないケースがあるのです。

また、有給休暇についても、取ることを制限したり、有給休暇を取るためのハードルを高く設定したりします。

・これらの問題が生じる原因は、企業の人手不足や業務の遅れを解消するためとされます。

・休日が少ない、有給休暇を取りにくいといった労働環境は、従業員のストレスを招き健康に悪影響を与え、企業の生産性や世間の評判にも良くない影響を与えます。

3 給料が安い~最低賃金以下

ブラック企業では、故意に従業員に対し給料を低く設定している場合が多くみられます。

とくに国が定める最低賃金を下回るような低賃金で働かせているケースが少なくありません。

最低賃金とは、労働者の生活を維持するために必要な最低限の収入を保証するため設けられた措置です。

・最低賃金は、労働者が働いた1時間あたりに受け取ることができる最低限の賃金で表します。
それは、国が定めるもので、地域や業種などによって異なり、時間あたりの金額で表示されます。

・最低賃金を下回る給料の支払いは、ブラック企業がそもそも最低賃金法など労働法を遵守する意識が乏しいことから生じる問題といえます。

4 パワハラやセクハラの横行

ブラック企業では、パワハラやセクハラが横行する傾向があります。

⑴ パワハラ

パワハラとは、上司や同僚などの上位者が、職場での立場や力を濫用して、下位者に対し無理な指示・命令をしたり、過剰な仕事量を押し付けたり、罵声を浴びせたり、暴力を振るったりすることをいいます。

「パワハラ防止法」では、パワハラの定義を次のように定めています。
パワハラとは、
① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されること


そして具体的には、次のような行為が該当するとされます(厚労省の「パワハラ指針」より)。 

1 身体的な攻撃・・・暴行・傷害(殴る、蹴る、物を投げつけるなど)
2 精神的な攻撃・・・脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3 人間関係からの切り離し・・・隔離・仲間外し・無視
4 過大な要求・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
5 過小な要求・・・業務上の合理性がなく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6 個の侵害・・・私的なことに過度に立ち入ること

・このようなパワハラを受けることによって、労働者は精神的ストレスやうつ病、身体的な病気、社会的孤立などを引き起こすことになります。

しかし、パワハラについては、近年パワハラ防止法などで企業の措置義務が定められるとともに、被害者からの損害賠償請求も行われるようになっています。

⑵ セクハラ

セクハラとは、職場での性的な言動が、被害者に対して嫌悪や不快感を与え、被害者の仕事をやりにくくすることをいいます。

セクハラの例としては、セクシャルな冗談性的なスラングの使用不適切なタッチや視線セクシャルなふざけパワー関係を利用した性的な要求セクシャルな写真やビデオの共有などが挙げられます。とくに女性に向けられることが多いです。

セクハラによって、被害者はうつ病や不安障害PTSD(心的外傷後ストレス障害)などを引き起こすことがあります。

しかし、近年では、セクハラに対する社会的な認識が高まっており、それは刑法犯罪になる可能性があるほか、男女雇用機会均等法など法律的な規制も強化されてきています(企業の措置義務等の制定など)。

5 不透明、偽装の雇用契約

ブラック企業では、不透明な雇用契約が存在することが多いです。
その契約には以下の内容が含まれるケースがあります。

⑴ 正社員として募集しておいて面接通過後に契約を交わす段になって、「試用期間」として一定期間(3カ月~1年など)の有期契約を結ばせる。その後会社が雇いたいと判断した相手とだけ正社員として改めて契約を交わすという偽装の手口。

⑵ 1日の「所定」労働時間が10時間など
労働基準法では、1週間の各日につき1日8時間を超えて労働させてはならないとされています(32条2項)。ところがブラック企業では、1日の所定労働時間が10時間に設定されていて、従業員に過剰な労働を強いるケースがあるのです。

⑶ 短期契約や派遣契約延長のくり返しをする
ブラック企業では、短期契約や派遣契約の延長を繰り返すため、従業員は悪い労働条件から抜け出せないことが多いのです。そのため労働者がいつまでも不安定な雇用状態に置かれています。

⑷ 労働時間の記録不備
ブラック企業の中には、従業員の労働時間を正確に記録しなかったり、又は記録した労働時間を上回って労働させるケースがみられます。

⑸ 給料明細書の不備
ブラック企業では、従業員に給料明細書を渡さない、あるいは不備な明細書を渡すことがあります。
給料明細書には給与や残業代、社会保険料などの詳細が記載されるため、不備な明細書は労働条件の不明瞭さを招き、後にトラブルを引き起こすことになります。

以上はすべて違法な行為であり、労働者は自分が働く企業の労働契約書等をよく読み、労働条件が違法なものでないか確認することが大切です。また、適正な労働条件を求めるために、労働組合労働基準監督署などに相談することも必要です。

6 残業代を支払わない

ブラック企業では従業員が長時間の残業をさせられることがありますが、その場合残業代が支払われないことも少なくありません。サービス残業のために従業員は適正な報酬を受け取れず、生活に困窮することにもつながります。 

ブラック企業で残業代不払いを支払わない手口として多いのは、

⑴ 固定残業制(一定時間分の残業代を固定して支払う制度)、又は年俸制だからと言って支払わない 
固定残業制の例としては、「月給20万円(うち固定残業代 2万円を含む)」というような形で定めるもので、営業職など外回りの多い業務に多くみられる。固定残業代制度の時間を超えた残業が発生しているのに、その超えた分を払わない。

⑵ 「みなし残業」だからと言って支払わない
これは、「営業手当」や「職務手当」という名目で月数万円を支払い、残業代は一切支払わないというもの。

⑶ 「管理監督者」だからと言って支払わない
本当に「管理監督者」に該当するなら残業代は支払わなくてもよいが、実際は「名ばかり管理職」や「名ばかり店長」が多い。

⑷ 残業時間を切り捨てる方法で全額支払わない
これは、たとえば「退勤時間は15分単位で切り捨てる」とする処理をする場合。しかし、残業代は原則としてたとえ1分でも請求できるもの。

以上のような企業の処理はすべて違法です。
残業代は法的に別途支払うことが義務付けられているため、適正な残業代を受け取れない場合は労働基準監督署などに相談するとよいでしょう。

7 労災隠しする

事業者は、労働災害等により労働者が死亡又は休業した場合には、遅滞なく、労働者死傷病報告等を労働基準監督署長に提出しなければなりません。

「労災隠し」とは、事業者が労災事故の発生を隠すため、労働者死傷病報告(労働安全衛生法100条、労働安全衛生規則97条)を、(1)故意に提出しないこと(2)虚偽の内容を記載して提出することをいいます。

・なぜ労災隠しをするのか?

その理由は、
①労災保険を申請すると労災保険の保険料が上がる場合がある
②労災の申請が面倒
③労災が公表されると企業イメージが損なわれる
などの理由からです。

ブラック企業では、このような「労災隠し」をすることが少なくないのです。 

8 社長や上司の指示は絶対のトップダウン

ブラック企業の特徴の一つに、社長や上司からの絶対的トップダウンという管理スタイルをとる場合が多く見られます。

このスタイルは、上層部から指示が下され、下部はその指示に絶対服従することが求められる管理形態です。
絶対のトップダウン管理スタイルは、従業員が自主性やアイデアを発揮できない状況を生み出し、従業員のやる気や意欲を低下させます。それにより従業員にストレスや疲労がたまる原因にもなっていきます。

また、それは組織内の情報共有やコミュニケーションに支障が生じ、企業の業務効率や製品品質の低下にもつながるものです。

9 従業員の離職率が高い

ブラック企業は、従業員の入れ替わりが激しく、離職率が高いという特徴があります。

離職率が高い原因として、以下のような理由が考えられます。

⑴ 長時間労働や過重労働により身体的・精神的負担の増加している
⑵ 給与や福利厚生が不十分であり、長期の勤務が困難である
⑶ 職場環境の悪さやパワハラで耐えられない

悪質な特殊ケースとしては、会社にとって辞めさせたい社員に意図的にパワハラ等をして「自ら辞める」形に持っていく手口を取る
⑷ 不当解雇や退職勧奨も多い
⑸ 企業の組織風土が悪い⇒従業員を尊重しない

10 募集要項にやる気や情熱の言葉が目立つ

募集要項にやる気や情熱の言葉が多い会社は、業務やサービスに対して熱心な場合もありますが、それだけで優良な企業であるとは言えません。

ブラック企業の場合は離職率が高いので、必死になって人材募集している傾向があります。そして、募集時にやる気や情熱の言葉を多く使って、採用後に過重労働をさせるのに都合のよい人材を集めようとしている可能性があるのです。

また、ブラック企業は経営危機にある場合も少なくないため、募集時にやる気や情熱の言葉を多くして、会社が元気なように装い、応募者をだまそうとしている場合もあります。

11 従業員を簡単に辞めさせない

ブラック企業では、離職率が高いこともあって、従業員をなかなか辞めさせないケースも目立ちます。

退職妨害の手口もいろいろで、多様化、巧妙化しています。 
例をあげると、

・社長や上司に辞めたいと言ったとたん、怒鳴られたり暴力をふるわれたりしてパワハラを受け、こわくて辞められない
・上司に退職願を提出しても、上司が握りつぶして人事部にまわさないなど、退職手続を進めようとしない
・後任者が見つかるまで辞めてもらっては困ると言って、いつまでたっても辞めさせない
・かつての仕事上のミスを持ち出してきて、「今辞めるんだったら、損害賠償を請求するぞ」と脅かす
・些細なことを理由に「懲戒処分」をちらつかせて、退職させない
・離職票・社会保険書類など、今後の転職や生活に必要な書類をくれない
・退職にあたり、これまでの未払い賃金や残業代、立替金を払ってほしいが、会社は支払おうとしない
・「引き継ぎをキチンとしないで会社に損害を与えたから、損害賠償を請求する」と脅される

など、いろいろな手口があります。

とくに中小零細企業では、新規の人材募集が面倒だとか、人手不足だから今辞められては困る、と言って辞めさせない傾向がとくに目立ちます。 

12 精神論がよく出てくる

ブラック企業においては、精神論がよく出てくる傾向があります。

ブラック企業における精神論は、従業員に対して「社員としての使命感」や「犠牲精神」という考え方を植え付けようとするもので、精神的なプレッシャーをかけることで、過酷な長時間労働やノルマを課す手法です。
同時に「会社への忠誠心」を高めようとするものでもあります。

このような過度の精神論は従業員のストレスや疲弊を引き起こすことも多く、そのため、うつ病や過労死といった深刻な問題を引き起こしかねないのです。

13 ホワイト企業とは

ブラック企業とは反対の「ホワイト企業」についても見ておきましょう。

ホワイト企業の特徴は、おおむね上記のブラック企業の逆になります。 
すなわち、

・過重な長時間労働がない
・休日・有給がきちんと取れる
・給料が良い
・残業代等をきちんと支払う
・福利厚生がよい
・パワハラ・セクハラなどがない
・きちんとした雇用契約を結ぶ
・従業員の提案・意見なども取り入れる姿勢がある
・職場の雰囲気が悪くない
・離職率が高くない
・むやみに退職妨害しない
・女性が働きやすい(産休・育休取得など)
・ワークライフバランスを重視する 


 ホワイト企業には、このような特徴があります。  

3 求職の時にブラック企業を見抜くポイント

ブラック企業を見抜くポイントは、2章で述べた「ブラック企業の特徴」を踏まえて判断することになりますが、ここでは、とくに求職時にそれを見抜くときのポイントについて説明します。

⑴ 従業員の労働条件や福利厚生が悪い

すでに見たとおり、ブラック企業では、従業員の労働条件が悪く、長時間労働や過重労働、残業代未払いなどが頻繁に発生します。また、社会保険や年金などの福利厚生が不十分な場合もあります。
とくに給料面では、「最低賃金」以下の時給になる場合もあり、注意が必要です。

このように従業員の労働条件や待遇が悪く、とくに給与、保険、手当等の面がきちんとしていない企業はブラックの可能性が高いのです。

⑵ 人事評価や報酬が不透明である

ブラック企業では、人事評価や報酬が不透明であることも多いのです。

そこでは従業員の報酬や昇進などの明確な評価基準がなく、たとえば、業績が優秀な社員に対しても昇進や適切な報酬が与えられないこともあります。
また、業績不振の場合は、従業員に対して違法な解雇減給を行う場合もあります。

⑶ 経営陣の人間性に問題がある

ブラック企業では、経営陣の人間性に問題があることが多いのです。
たとえば、従業員に暴力的な言動やパワハラ、セクハラなどを行ったり、また、不合理で無茶な命令を出したりします。 

⑷ 従業員の離職率が高い

すでに見た通り、ブラック企業では従業員の離職率が高い傾向があります。

従業員が定着せず人の入れ替わりが激しい場合は、待遇や労働環境が悪いからです。
また、ブラック企業が労働力不足を補うため、採用時に虚偽的な待遇や労働条件を提示し、入社後に話が違うとすぐ辞めていくというケースも少なくありません。

⑸ 従業員の意見や要望に対する対応が不十分

ブラック企業では、従業員の意見や要望に対する対応が不十分である場合が多くみられます。

たとえば、従業員から問題点の報告があったにもかかわらず解決を放置したり、改善要望があったにもかかわらず、何ら対応しない場合も多いのです。

⑹ 求人情報や企業情報からみて業績や経営状態が不透明

求人情報に掲載されている企業の業績や経営状態が不透明な場合は、ブラック企業である可能性があります。
また、掲載情報からみて経営状態が不安定であることがわかる場合も、注意が必要です。

経営状態が不安定な場合今はブラック企業でなくても、いずれ従業員への締め付けへ方針転換してくる可能性があるからです。

⑺ 面接や選考プロセスでの対応が不適切な場合

求人企業の面接や選考プロセスで不適切な対応がある場合も問題です。
たとえば、面接官が過度なプレッシャーをかけたり、不適切な質問をしたりする場合は、そこから企業が従業員を尊重していない姿勢が伺えるのです。

また、応募者が面接時に質問することで企業の姿勢をうかがい知れることがあります。 面接の場で福利厚生や労働環境について質問することで、企業についてより詳細な情報が得られる場合もあるのです。

⑻ 企業に対する社員の口コミや評判がよくない

企業に対する社員の口コミや評判はインターネット上の掲示板やSNSなどで調べることができます。
社員のストレスの書き込みやワークライフバランスに関して悪い投稿が多い場合は、ブラック企業である可能性が高いため注意が必要です。

⑼ 業界全体の労働環境が悪い

ブラック企業では、その業界全体の労働環境が悪い場合もあります。 

その業界全体の労働環境が悪いため従業員として選択肢が限られ、特定のブラック企業に就職せざるを得ないケースもありうるのです。
そのような場合は、他の業界と比較したり、又は他の業界の企業・職種を検討することも一つの選択肢となるでしょう。

ちなみに、「業界別残業時間(月間)ランキングTOP30」 という調査も発表されています。
それによると、

1位 コンサルティング 83.5時間 
2位 広告、デザイン  78.6時間
3位 建築、土木、設計 70.8時間
4位 マスコミ、出版  66.1時間
5位 不動産 、建設 64.8時間 
以下、IT業界、飲食業界・・と続きます。
(OpenWork調査:掲載は一部のみの抜粋)     

ただ、どうしても自分が希望する当初の業界を選びたいときは、当該企業がその業界平均と比較してみてどうか~その企業の時間労働や有給休暇取得率などの労働条件や待遇面などをチェックして選ぶようにしましょう。

4 過重労働の裁判例

ここで、参考までに過重労働に関する裁判例を見ておきましょう。 

⑴ 電通事件最高裁判決

・使用者は「その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」(安全配慮義務)を負う。

・労働者が恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事しており、会社側が労働者の健康状態の悪化を認識しながらも、負担軽減等を講じない場合には、使用者は安全配慮義務違反を理由とした民事損害賠償責任を負う

⑵ 横浜南労基署長事件最高裁判決

・労災認定においても、労働者に対し恒常的に著しい長時間労働が認められた場合、「過重な精神的・身体的負荷が労働者の基礎疾患をその自然の経過を超えて憎悪させ、右発症に至ったものとみるのが相当」として、労災不支給決定処分が取り消された
この判決はその後の労災認定基準の大幅な見直しにつながりました


(注)本記事は上記の団体がブラック企業であると決めつけるものではありません。あくまで上記のような過重労働は違法であるとする裁判例です。

なお、日本では中小企業が多いため、法令違反の事案が多発しており、先に見たように、厚労省が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で多くの違反した中小企業のデータを公表しています。 

5 ブラック企業で働く人が取るべき対処法

ブラック企業にいる人が取るべき対処法・対策は以下の通りです。

⑴ 労働環境の改善を要求する

ブラック企業で働く人は、労働環境の改善を要求することが重要です。そのためには、社内の人事や労務部門に相談し、労働時間の短縮や残業代の支払い、福利厚生の充実などを要求してみることです。

⑵ 法律の知識を身につける

ブラック企業で働く人は、自分の労働者としての権利や労働法について理解することが、身を守るためにも大切です。そのため、法律に精通した弁護士や労働組合、労働基準監督署などに相談して、適切な労働条件の確保を図るよう努めましょう。

⑶ ストレスを発散する

ブラック企業で働く人は、業務で溜まったストレスを発散することも必要です。定期的な運動や趣味、社外での交流などを通じて自身をリフレッシュさせることが、心身の健康を守るために大切です。

⑷ 転職を検討する

ブラック企業で働く人は、転職を検討することも選択肢の一つです。
転職によって、より働きやすい環境や労働条件で働くことができる可能性があるからです。
その結果、心身の健康や普通の生活を取り戻せることもあるのです。
さらに、転職によって自分のキャリアアップにつながる場合もあります。

ブラック企業に勤める方は、以上のような対処法を参考にされ、ご自分の健康や生活を取り戻し、守るようにしましょう。

6 ブラック企業を辞めたい人は

ブラック企業を辞めたいと思っている人は、以下のようなステップを踏んで行動することをおすすめします。

⑴ 自分の現在の状況を把握する

まず、自分がどのような理由でブラック企業で働き続けているのか、現在どのような状況にあるのかを把握することが大切です。
現在自分が抱えるストレスや不満の大きさ、退職後の生活設計、そして転職活動をするために必要な経験やスキル、資格などを洗い出してみましょう。 

⑵ 転職活動を始める

ブラック企業を辞めると決めた場合は、通常、転職活動を始めることになります。
転職エージェントや求人情報サイト、知人など、複数のルートから情報を収集し、自分に合った企業を探しましょう。ハローワークなどの公的な求人情報もチェックすることが可能です。

⑶ 労働基準監督署や労働組合などに相談する

退職時に何かトラブルがある場合は、労働基準監督署労働組合などの機関に相談することもできます。
例えば、残業代の未払いや、長時間労働やパワハラによる健康被害などがある場合で退職にあたり解決しておきたいときは、相談してみましょう。
また場合によっては、後に述べる退職代行サービスに相談したりそれを利用することもできます。 

ブラック企業を辞めたい方は、以上のように、ご自分の現状をよく把握したうえで冷静に退職手続や転職活動を始めることが大切です。また、これらと同時にストレスを軽減する方法も見つけて今後の活動がスムーズに進められるようにしましょう。

7 転職時にブラック企業で働いたことを活かす方法

転職時にブラック企業での経験をアピールする際には、以下のような点を考慮するとよいでしょう。

⑴ 責任感やストレス耐性の高さをアピールする

ブラック企業で働いた経験があることは、責任感やストレス耐性の高さを示す材料になります。具体的には、仕事の過酷さや人間関係の複雑さに耐え、最後まで仕事を遂行し続けたことをアピールしましょう。

⑵ 経験を通じて身についたスキルをアピールする

ブラック企業で働いていると、クレーム対応や緊急事態への対応など、多くのスキルが身につきます。自分がブラック企業で働いたことがそれなりのスキルアップにつながったという点をアピールするとよいでしょう。

⑶ 挑戦的な状況に適応できる能力をアピールする

ブラック企業での経験は、極限状況にも適応する能力を身につけたことを証明するものでもあります。過酷な環境下でも柔軟に対応し、解決策を見出せる能力がある点をアピールするとよいでしょう。

⑷ ブラック企業からの転職を志望する理由を説明する

これまで勤務してきたブラック企業での働き方が合わなかったことや、健康を維持したりプライベート時間を確保したい点など、ブラック企業を辞めたい理由を説明するとよいでしょう。 

以上のような点について、ブラック企業での経験をポジティブなものとしてアピールすることが大切です。
なお、新しい転職先がブラック企業でないことも気をつけてチェックするようにしましょう! 

8 ブラック企業を辞めたいときの退職代行の利用はどこがよいか?

勤めているブラック企業を辞めたいと思っても様々な形で退職妨害されて辞めにくい場合、退職代行サービスを利用することも一つの方法です。
退職代行を使えば、スムーズに退職できるケースが多いからです。

ただ、その選び方には注意が必要で、良くない業者に頼むと、かえってトラブルになりかねません。
退職代行を選ぶ時のポイントは以下の通りです。

⑴ 信頼性の高いサービスかを確認する

退職代行サービスには、信頼性の高いものと低いものがあります。
信頼性が低いサービスだと、退職手続きがうまくいかず会社とトラブルになることがあります。
そこで、利用する前に退職代行としての実績があるかどうか、口コミ・評判などを調べて信頼できる代行業者かどうかを確認しましょう。

⑵ サービスの法的権限の範囲

退職代行サービスには違法行為をしてしまう業者があるので、業者選びの際は、以下の権限をチェックして選ぶようにしましょう。

弁護士(法律事務所)による退職代行・・・退職に関するあらゆる法律問題に対応できる。退職時に未払残業代等の請求もしてくれる
労働組合による退職代行・・・団体交渉権があるので、労働者の労働条件や権利について会社側と交渉できる
弁護士が顧問や監修する業者の退職代行・・・弁護士の指導や助言を受けるので、適切な退職代行が一応期待できる
一般企業の退職代行・・・退職意思を伝えることしかできない

以上のうち、違法行為のおそれが少ない①②③の業者から選ぶことをおすすめします。  

⑶ サービス内容、対応エリアを確認する

退職代行サービスによって、そのできる法的権限に応じて、提供されるサービス内容が異なります。
たとえば、①とにかく退職できればいいのか、②会社と交渉してこちらの希望を実現してほしいのか有給休暇を使って辞めたいのか未払い残業代や退職金を受け取りたいのかパワハラを受けたので損害賠償を請求したいのかなど)、自分に必要なサービス内容を確認して、代行サービスを選ぶようにしましょう。

また、そのサービスの対応エリアもチェックしておきましょう。
これについては、特定の地域だけしか対応していないサービスではなく、全国対応のサービスを選んでおけばよいでしょう。

⑷ 料金を比較する

退職代行サービスの料金は、業者によって異なります。
⑵で述べたサービス内容やオプションによっても料金が変わります。
退職代行業者全体の相場としては3万円前後が多いのですが、弁護士による退職代行では5万円以上が一般的です。
複数の業者の料金を比較し、自分に合ったサービスを選ぶようにしましょう。

⑸ 契約内容を確認する

退職代行サービスを利用する際には、契約内容をよく確認しましょう。とくに、利用料金や解約関係、残業代の請求などの場合のオプション料など、それぞれのサービス内容について確認しておきましょう。不明な点はLINEなどで問い合わせましょう。

⑴~⑸のポイントを参考にして、信頼性の高い退職代行サービスを選ぶようにしましょう。

⑹ ブラック企業には弁護士の退職代行がとくに有効

退職代行の中では、弁護士による退職代行は、専門的な法律知識と経験を持った弁護士が手続きを行うため、確実であり、安心して依頼することができます。

⑴ 弁護士は法律の専門家でありトラブル対応にも豊富な経験があるので、ブラック企業におけるあらゆる雇用問題に適切に対処することができます。

⑵ 未払い残業代や退職金の請求、有給休暇の取得請求、パワハラを受けたときの損害賠償請求など、弁護士以外ではできない事柄にもスムーズに対応してくれます。

また、会社からの退職妨害、懲戒処分や懲戒解雇、業務上ミスに対する損害賠償にも応戦して、依頼者の有利なように解決を図ってくれるのです。

⑶ 会社側も、弁護士相手では法的なリスクを感じるので、トラブルなくスムーズに退職できることが多いのです。

⑷ ただ、依頼者として気をつけたいことは、単に退職するだけでなく、特別な法的請求や会社からの損害賠償に対して応戦してもらうなどの場合は、別途費用が発生することが多い点です。
その業者の無料相談などを使って、サービス内容や料金の確認をしっかりしておきましょう。

⑸ 弁護士の退職代行は、一般の退職代行業者と比べて料金がやや高めです。
しかし、なかには、安い目の料金でサービスを提供しているところもあるので、しっかり確認するようにしましょう。

なお、料金が良心的または安い目の「弁護士退職代行」として、次のサービスがありますので、おすすめします。

 弁護士法人みやび 詳細記事
 退職110番詳細記事


なお、「退職代行の選び方 コツおすすめ7選」については 詳細記事

スクロールできます
退職代行サービス業者名おすすめ度運営者料金(税込)追加費用交渉権弁護士関与即日退職対応エリア無料LINE対応返金保証後払い転職サポート詳細
退職代行ガーディアン
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弁護士法人
みやび
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退職代行SARABA
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労働組合29,800円なしあり全国公式サイトへ
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弁護士事務所43,800円(オプション可)なしあり弁護士全国公式サイトへ
退職代行Jobs
公式サイト
労働組合提携27,000円(+組合費2,000円)なしあり顧問弁護士全国公式サイトへ
辞めるんです
公式サイト
民間企業27,000円なし伝達のみ顧問弁護士全国公式サイトへ

9 まとめ

以上のように、ブラック企業は、過重労働や不透明な労働条件、パワハラなど、様々な問題をかかえる企業です。

このようなブラック企業の存在は、労働者の健康被害や精神疾患、過労死などを招き、社会的にも多くの悪影響を及ぼしています。

ブラック企業で働く方は、本記事で述べたことを参考にしていただき、より良い労働環境のための改善要求や、場合によっては転職を検討されることも必要になるかと思います。

簡単なことではないと思いますが、どうか工夫と努力によって、あなたにとってより健全な労働環境の下での労働が実現できることを願っています。

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